研究室に配属されて知らないツールを使う機会が増えましたが、これが意外と便利でした。
理系大学生なら知っておきたい、研究に役立つ研究用ツールと解説サイトを紹介していきます!
私の利用しているパソコンはWindowsであり、Macでは機能しないものもあるので注意が必要です。
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研究用ソフト
DeepL(ディープエル)
Google翻訳よりもかなり精度がかなり良く、英語から翻訳した日本語を見せてもわからないかも。
英語論文を読むときだけでなく、日本語の文章を英語に直すときにも重宝しています。
Web版も便利ですが、DL版なら翻訳したい部分を選択「Ctrl+C」2回タップで自動翻訳が可能。
- DLページ:DeepL
PDIndexer(ピーディーインデクサー)
X線回折装置(XRD)の測定データを、可能性のある結晶構造と比較・検証する際に用いるツール。
測定試料やデータベースの回折パターンは、「.txt」や「.cif」でも自動で読み取るので便利です。
データベースは後述するNIMS(物質材料研究機構)のデータベースからDLできます。
【PDIndexer】XRD測定に便利なツールの基本的な使い方
- DLページ:PDIndexer
- 使い方サイト:PDIndexerマニュアル
ImageJ(イメージジェー)
画像中の物質の大きさを測定したり面積率を計算したりするツールで、ダウンロードが必要。
サイズ測定にしても直線距離から円の面積まで様々な機能があり、全部把握している人は少なそう。
生物系をはじめとしてあらゆる分野で利用されており、紹介した中でも認知率が高いツールかも。
- DLページ:ImageJ
- 使い方サイト:ImageJマニュアル
Mendeley(メンデレー)
研究に関して読んだ論文をまとめる無料サイトで、DL版と論文保存用のChrome拡張機能もあり。
論文をライブラリに保存するとジャーナル名や著者、発行年などを自動で取得し分類してくれます。
論文を書く際にはWordに参考文献一覧を打ち出す機能もあるため、資料整理の手間がかかりません。
- DLページ:Mendeley
- 使い方:Mendeleyマニュアル
GeoGebra(ゲオゲブラ)
Excelでは具体的な値がないと数式を図示できなかったため、y=2xの式を表示するだけでも一苦労。
一方GeoGebraなら数式からグラフを作成して、画像などでエクスポートできるため便利です。
他にも立体の描画や数式を解く機能などもあり、アプリ版でもウェブ版でも利用することができます。
- DLページ:GeoGebra
- 使い方:GeoGebraマニュアル
TeamViewer(チームビューワー)
研究室のパソコンを遠隔操作するソフトで、送信側と受信側にインストールするとリンクできます。
最近知ったのですがスマホやiPadでもアプリを入れれば利用できるので、電車の中でもできる!
大学によって遠隔操作ソフトの利用が制限されていることもあるので、利用前に確認しましょう。
- DLページ:TeamViewer
- 使い方:TeamViewer使い方
KaleidaGraph(カレイダグラフ)
以前レポート用に、「Excelで上下左右に軸があるグラフの作り方」と題して記事を書きました。
しかしカレイダグラフを使えば、グラフの体裁を整えなくても楽にきれいなグラフが描けます。
欠点としては、使える人が少ないために研究の引継ぎの際に苦労すること、値段が高いこと。
- DLサイト:KaleidaGraph
- 使い方:KaleidaGraphマニュアル
FactSage(ファクトセージ)
複数物質の状態図を描いたり、ある条件下でどんな化合物が生成するかを計算したりするツール。
物質の様々なデータを保有するライブラリから自動でソフトが結果を導き出してくれます。
無料でダウンロードできる学生版もありますが、未だに使いこなせていないので詳しい説明は省略。
- DLサイト:FactSage
- 使い方:FactSageマニュアル
研究用サイト
WebPlotDizitizer(ウェブプロットデジタイザー)
論文にあるグラフを取り出せるサイトで、ダウンロード版もありますがウェブ版が便利です。
論文グラフのスクショなどを読み込み、X軸とY軸を2点ずつ指定すると自動補正をかけてくれます。
読み取った値をExcelに数値で送れるため、自分の研究には必要ないデータを除くことも可能です。
- サイトページ:WebPlotDigitizer
- 使い方:WebPlotDigitizerマニュアル
iLovePDF(アイラブピーディーエフ)
ソフトをダウンロードしなくても使える、PDFに関する基本的な操作がすべて完結するウェブサイト。
重宝しているのがPDFの結合と画像変換、それと容量圧縮などでダウロード版もあります。
アドビのAcrobatもまあまあ使いやすいですが、こっちのほうが直感的に使えるので便利。
- サイトページ:iLovePDF
CONNECTED PAPERS(コネクテッドペーパーズ)
現在読んでいる論文と関連するものを筆者や内容、引用から図に表示してくれるサイト。
関連する論文を探すための苦労が減ります。
サイトページ:CONNECTED PAPERS
英辞郎 on the WEB(えいじろうオンザウェブ)
論文を読む際にわからない部分を単語レベルで調べるときに、使っているサイト/アプリ。
調べた単語にチェックを入れると、アプリの単語帳に自動で反映されるため繰り返し勉強できます。
もとはWeblio勢でしたが無料で高機能、さらに小窓モードなら広告ゼロなので乗り換えました。
- サイトページ:英辞郎 on the WEB
InCites Journal Citation Reports
論文の権威を測定するのにつかわれる「JIF(ジャーナルインパクトファクター)」を調べるサイト。
「JIF=引用論文数/掲載論文数」で、課題や輪講の際にJIF>〇と指定されることがあります。
分野によって引用のされ方が変わるため、分野をまたいでJIFを判断するのは適切でないとのこと。
サイトページ:https://jcr.clarivate.com/
研究用その他
iPad
論文をいちいち印刷するのも面倒なため、iPadで読んでいます。
講義資料などはアプリGoodNotes5に落として書き込みをしています。
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関数電卓
分数が入ってくるような計算を一発でできるのが、関数電卓の何より便利。
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CamSccaner
撮影した書類などの写真をスキャンして整えてくれるアプリ。
スキャナアプリはいろいろありますが、スキャナ範囲の設定がしやすいのでCamScannerを使っています。
Googleフォト
撮影した画像を保存するクラウドとして有名ですが、テキスト抽出や翻訳にも使えることは知られていません。
PDFではなくスライドなどを撮影した際でも、きちんと文字を抜き出してくれます。
写真のままに文字だけ翻訳してくれる機能は、翻訳の精度はともかく使いやすいです。
【Googleフォト】海外旅行のスマホ紛失に有効!翻訳や画像検索も
PaperShip
PDF書き込みアプリですが、Mendeleyと紐づけられるので論文購読に便利です。
Mendeleyに保存した論文を自動でDLするため、すぐに論文を読み始められます。
ハイライトを引いたり単語を調べたりでき、1220円の買い切りなので研究効率を上げるにはいいかも。
サポート終了、バグが修正されなくなったので今から買うのはお勧めしません。
数式挿入パネル
追記:Windows11では廃止されているそうです
Windowsアクセサリの中にあるソフトで、手書きの数式をWordに挿入できる便利ツール。
いままで一つずつ入力していた数式もこれでサクッと入力できるようになります。
おまけ:金属系の役立つサイトなど
こういう情報は少ないので需要があるか不明ですが、役に立ったリンクをまとめてみました。
内容としては状態図、力学的挙動、転位、金属間化合物、サイズ効果、結晶方位、単結晶など。
高エントロピー合金
高エントロピー合金に関する論文を項目別にまとめてくれている書籍で、非常に便利でした。
全文英語なのと、価格が非常に高いので、研究室の予算で購入してもらうのがおすすめ。
似たような物質の力学的特性をぱっと調べたいときなど、百科事典的に重宝しました。
室蘭工業大学 亀川研究室 材料科学B
http://www3.muroran-it.ac.jp/hydrogen/zaika_b.html
2020年度の材料工学コース3年生用の資料らしいですが、金属初心者にはとても良いです。
結晶学から状態図まで広く浅く網羅しており、ざっと復習する際にも非常に便利でした。
大学院の口頭試問対策に利用し、その後も入学希望者などにおすすめしている資料です。
結晶構造の分類と表記法
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/29/2/29_2_118/_pdf/-char/ja
いくつも名称があり、複雑なのに実は明確なルールが存在していない結晶構造の表記法。
一目で確認したいときに役立つデータベース代わりに利用しています。
代表的な化合物や点群も表記されているので、そちらで検索をかければすぐにわかります。
Phase Diagram
https://sites.google.com/site/catcalcphase/metal
二元系について計算状態図をまとめてくれている、運営者不明の謎しかし有能サイト。
論文に乗せるのではなく、ぱっと検討したいときにサクッと検索して使えるのでおすすめ。
二元系状態図だけでなくエリンガム図なども出せるので、お気に入りに入れておくと便利。
金属間化合物(材料学シリーズ)
基本的な金属間化合物についてさらった本で、先輩の論文と照らし合わせて勉強しました。
積層欠陥やAPBなどについても、比較的わかりやすい説明がなされているのでありがたい。
次に読むべき書籍がなかなか見つからないので、有識者がいたら教えてください。
3成分系平衡状態図の基礎
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/26432/ferrum10_10_810.pdf
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/26434/ferrum10_11_855.pdf
大阪大学のアーカイブに収録されている、日本鉄鋼協会ふぇらむに掲載された三相状態図講座。
二元系状態図の理解を前提に、三元系に拡張した場合の状態図の読み方を説明しています。
単結晶の塑性変形
http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P6/kobashi/img/file21.pdf
http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/P6/kobashi/img/file22.pdf
基本的に欠陥を含まない材料が、どのようなルールに沿って変形を起こすかを解説したスライド。
変形と理論強度
http://www.cis.kit.ac.jp/~morita/jp/class/EleEngMats/4.pdf
金属結晶のすべりと欠陥
ラウエ背面法
ラウエ背面法について述べている日本語でほぼ唯一の書籍ですが、なかなか難しい。
Greninger chart -FZU
http://www-xray.fzu.cz/xraygroup/www/grchart.html
グレニンガーチャートのPDFが置いてあるサイト、セロハンに印刷するといいでしょう。
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