理系大学生や大学院生は研究室に配属され、座学が多かった低学年とはまた違った生活を送ります。
1年~3年という短い期間で研究を行い、学会に出席したり論文を執筆したり、さらには就活もあったり…
研究室選びで失敗しないため、配属されてから周りに差をつけるためにおすすめの方法を紹介します。
研究室の選び方
自分の机があるか
個人の机がない場合、学生は実験機器のそばで1日を過ごすか登校日数が少ない場合があります。
他に確認することとしては、教授や助教の机は別室にあるかどうかも大切かも。
個人的には、大学へ行こうと思えて学生同士の交流もあるため机はあった方がいいと思います。
機械の納入時期
大学の研究室では○○億円の機器もありますが、機器に貼ってある紙で納入時期を確認しましょう。
あまりに古いと故障が多かったり性能があまりよくなかったりします。
最近では共通機器を利用する研究室もあり、研究室で機器を所有していることがプラスとは限りません。
個人的には修理などが面倒ですが、好きな時に使えるという点で機器はあった方がいいと思います。
研究の内容
研究室選びでは自分の興味を優先することが大切ですが、現在何を行っているかも確認が大切。
例えば金属の研究をしたいのに、実はディープラーニングで組織写真を分類する研究だったり。
やりたい内容を漠然と想像し、研究室のホームページや先輩との話で研究内容を深堀しましょう。
楽そうだからという理由で研究室を選ぶと、就活で研究について聞かれたときにやりづらいです。
就職先
研究室としては就職先はよいところを掲載しているので、実際に前代の就活結果を聞くのがお勧め。
研究室として夏のインターンにどれくらい行けるか、どのような業界への推薦がとりやすいかも。
研究したい内容と就職したい業界は、近ければ近いほど就職活動がやりやすくなるイメージです。
会議の回数
研究室では進捗報告として学生と教授が集まってミーティングを行うことがあります。
多いと頻繁に研究を行わなくてはならない一方で、方向性の修正も早めに行えます。
一方で会議が少ないと自分の好きなことができる一方で放任主義である可能性もあります。
個人的には教授と相談する機会が多いほうが研究しやすいので会議は多くてもいいと思います。
論文発表数
研究室から正式に掲載される論文がどれくらいあるかも、余裕があったら確認したいところ。
あまり論文が出ていないと、研究がうまくいっていなかったり研究分野として重視されていなかったり。
一方で大量に論文が発表されている場合、学生は支持されたことをひたすら行っていることも。
競争が激しい内容だと、とにかく人海戦術で実験データを集めることが重視されるかもしれません。
研究内容の散らばり
研究室によっては研究内容が複数あることもあります。
研究内容が多いといろいろな視点を得られる一方で、研究の相談をできる先輩が少ないかも。
個人的には新しいアイデアが生み出され、ミーティングも楽しいので分野が分かれているのが好き。
先輩の数
自分の研究テーマの面倒を見てくれる先輩がどれくらいいるか、研究内容の理解度も大切です。
新規テーマで、周りに専門家がいない場合、ちょっとしたことも自分で調べる必要が出てきます。
外部進学が多い大学院などでは、全く別分野から来た人だけだったりして理解が浅いことも。
専門性の高い研究室で、深い議論のできる環境の方が自分を成長させることができます。
学会出席率
学会への出席率が高いと、学会で発表できるだけの研究を行っているという証明にもなります。
同じ人が1年に何度も学会を行っている場合、かなりのハイペースで研究が進んでいる可能性も。
基本的に学会ではまだ発表していないことを話すため、発表後はさらに実験を進める必要があります。
中には国際学会に参加する研究室もあり、今後はリモートの後押しもあり国際学会が増えそうです。
コアタイム
コアタイムがあると、生活リズムが整う、先輩に会う確率が上がるなどのメリットがあります。
一方でない場合は自分のリズムで研究を行える、柔軟にスケジュール調整できるなど。
研究室紹介などで聞くのもアリですが、表ではコアタイムなしといわれることが多いかも。
朝や夜に大学を外から見た際に、希望している研究室の電気がついているかを見る方法もあります。
研究室の過ごし方
教授や先輩と話す
先輩や教授とのホウ(報告)レン(連絡)ソウ(相談)は大切、同期との会話も積極的にすると良いでしょう。
分野が関係ない人でも、眠っている装置など思わぬところからアイデアが出てくることもあります。
研究が行き詰ったとき、うまくいったとき、疑問点があるときなど、インプットとアウトプットを!
基本データをまとめておく
扱っている材料の基本データやJIS規格、研究の目的などをざっくりまとめたスライドを作りましょう。
研究室紹介や就活など、研究内容に詳しくない人に説明する際にかなり役立つことが多いです。
またちょっとデータを見返したいとき用にデータ集を作っておくと、手間が省けるので楽になります。
英語論文の読み方
まずは研究テーマについて、先輩の論文や「トコトンやさしいシリーズ」など日本語を読みましょう。
日本語の時点で理解が浅いと、英語の論文を読んでも全く内容が入ってこないのでしっかり勉強。
まずはAbstractとconclusionから論文の要点を理解、次にグラフからデータをざっくり読み取ります。
ツールを使いつつ読み進め、論文ごとに結果をまとめておくと実験や卒論執筆の際にも手間が省けます。
【研究用ツール】グラフ作成など卒業研究で理系大学生が使うサイト
細かい工夫
ショートカットキーやブラインドタッチを覚えておけば、学会発表や論文の執筆もだいぶ楽になります。
英語論文からデータだけ見つけたいときは「Ctrl+F」で単語検索をかければよく、読む必要がないことも。
英文Ctrl+C > URL欄Ctrl+Vで改行なし > Ctrl+Aで全選択 > Ctrl+C2回押しでDeepLを起動などのテクも。
【理系レポート】ショートカットキー、タイピングサイト/裏技など
メモはすべて研究ノートに
研究に関するメモはそこらの紙にメモするのではなく、研究ノートにすべて書きましょう。
どこに行ったか探す手間が省け、自分が卒業した後は後輩に「ここに全部書いてある」と言えます。
発表しないデータも
データを隠したり改ざんするわけではなく、自分の仮説を確認するための実験などもあるといいでしょう。
進捗報告が厳しい研究室では、用事があって進捗がなかったとき用に報告を1週間遅れにする方法も。
気を付けたいこと
教授のタイプを見極める
テーマを与えて管理するタイプorテーマを決めさせて自由にさせるタイプなのかを見極めておくべし。
厄介なのは「自由にやらせると言いながらいざやろうとすると文句をつけてくるタイプ」です、注意。
研究室にはこまめに行く
教授や先輩だけでなく同期とのコミュニケーションは大切、実験手法以外にも研究室のルールなど。
就職活動に関する情報や、卒業に関する授業や書類についても取りこぼすことがなくなります。
こまめに相談する
報連相は大切、もし自分が間違った方向に進んでいるときに早く気づけるので無駄も減ります。
大切なのはわからないことをわからないと言うこと、わかったつもりでいると考察を書くときに苦しみます。
先輩からデータを受け取る
先輩が卒業するときはデータを全て受取って、それぞれのデータが何を意味するかを全て聞いておく。
もらったデータは研究室のパソコン、自分のパソコン、外付けUSBなど、バックアップを多めに取りましょう。
読んだ論文は整理しておく
英語論文や勉強のために読んだ本は、すべてリストアップしておくと論文の参考文献を書くときに楽です。
Mendeleyに登録しておけば提出論文の定差によりますが、一気に参考文献リストを作れる可能性もあります。
バックアップは三重に取る
卒業が近づくと不思議なことにデータが飛んだり、パソコンが壊れたりする現象が多く報告されるらしい…。
研究室のパソコン、自分のパソコン、外付けUSB、オンラインストレージなど、時期ごとにも保存しましょう。
就職活動と両立する
研究期間と就職活動期間がかぶりますが、「就職後の方が大切」と就活のために研究を投げるのは良くないです。
結果としてうまく両立できなかったとしても、両立しようという努力をしている人間の方が成功しているイメージ。
書ける場所はこまめに書く
論文の背景なら卒業年にならなくても書けるので、暇な時間にちょこちょこ書くことを強くおすすめします。
論文の書き方
ブログを書いているので文章力はあると思ってましたが、修論指導では予想以上にボロボロです。
やはりきちんと学ばない状態ではブログで文章力が付くというのは嘘、ちゃんと勉強しましょう。
文章の書き方ブログだけでなく今後の仕事でも使うため、指導の際に注意されたことをまとめます。
並列の記述
並列で物事を記述する際に、「や」で繋ぐとそれ以外にも対象があると想像させます。
同じ理由で「など」の使い方にも注意が必要です。
目的語の結び方
「AやBに関するCとDを観察した」という文章を例に挙げます。
主語と述語が離れすぎると、余計な部分にも意味が被ることがあります。
「AのCとBのDを観察した」の場合が良いこともあります。
目的を明確に
何のために文章を書いているかをしっかり決めてから、何が必要か考えます。
重複を減らす
主語が共通の場合、一文にまとめられないかを検討しましょう。
数日後に読み直す
その場では上手くかけたと思っても、数日後に見直すと違って見えます。
一度書き終わったら1日置いてからリセットされた気持ちで読み直し。
頭から書く
文章をまとめて書くのが大変なので、短文を後からまとめるのは△。
無理に繋ごうとするため、文章が破綻しがちです。
要素を書き出したら、改めて頭から文章を書くことをお勧めします。
論文を書く時のツール
現在修士論文を執筆中ですが、今後同じような状況になる方たちのために情報を整理しておきます。
研究室によってスタイルが違うので、論文を書き始める前に先輩の論文に目を通しておくと良いです。
それと終盤に論文を追い込むのは大変なので、毎日コツコツ進めていくことをおすすめします!
Mendeley Reference Manager
論文の出版社として有名なElsevier社が無料で提供する、論文の情報を整理できるDL用ソフトです。
今までに読んだ論文を拡張機能を利用して登録しておくことで、過去に読んだ論文を探すことが可能。
また後述するWordのプラグインを利用することで、論文執筆時に参考文献の入力が楽になります。
https://www.mendeley.com/reference-management/reference-manager/
目次
Wordで見出しにしたい段落を選択して「参考資料」から「見出しの追加」を選択してレベルを決定。
目次を入力したい場所で同じく「参考資料」から「目次」を選択すると形式を選んで表示できます。
途中の段落に見出しを追加しても、「参考資料」から「目次の更新」を選択することで自動で修正。
画像挿入
挿入した画像を選択して「参考資料」から「図表番号の挿入」を選択して形式や位置を決定します。
文中に図表番号を挿入したいときは「参考資料」から「相互参照」で挿入する図表番号を選択します。
文中に図表のタイトルを入れるかどうかは「参考資料」から「相互参照の文字列」で選択できます。
Mendeley Cite
Wordの拡張機能で、Mendeley Reference Managerに登録した文献を引用して文中に入力できます。
参考文献の表示の仕方は、各国の有名な論文誌の方法に従って変更することが可能となっています。
参考文献を入力したい段落で右上の「…」から「Insert bibliography」を選択することで一覧を表示。
https://www.mendeley.com/reference-management/mendeley-cite
研究室のその後
マニュアル作成
研究室によっては、研究に用いる機器の使い方が代々口頭で伝えられていることも珍しくありません。
数年間は正確に伝えられていても、だんだん操作の意味や正しい操作手順は失われていきがちです。
マニュアルは文章で作成し、読んだ人の反応や後輩を指導した結果を踏まえ日々アップデートしましょう。
保存資料は常に整理
実験データは日ごろから分類しておくと、データの取り違えや計算間違いなどに気づきやすくなります。
さらに後輩に引き継ぎ資料を作らないといけない研究室もあるので、コツコツやっておいた方が絶対楽。
さらにデータはいつ消えるかわからないので、USBにバックアップを必ず取っておきましょう!
外部大学院を受験する
現在いる研究室が合わなかったり、さらに発展的な研究を行いたい場合は外部大学院の検討もあります。
大学受験のころは手が届かなかった大学でも、大学院の難易度は低めになりさらに学歴も付いてきます。
世間では「学歴ロンダリング」とたたかれることもあるので、メリットやデメリットをまとめてみました!
【学歴ロンダリング】メリットデメリットを理系大学生に聞いてみた
コメント