【中国アニメ】フェーレンザイ・羅小黒戦記の基礎知識やキャラ由来

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以前から興味を持っていた中国アニメ作品が、日本語に吹き替えられて公開されました。

  • 「羅小黒戦記(ろしゃおへいせんき)」
  • 「非人哉(ひとにあらざるかな、フェーレンザイ)」

ただこれらの作品、中国人にとっては常識となっている神々がテーマになっています。

日本人にとってなじみがない部分もあるため、備忘録もかねてキャラの由来をまとめました!

作品紹介

羅小黒戦記(ろしゃおへいせんき)

人間たちの自然破壊により、多くの妖精たちが居場所を失っていた。森が開発され、居場所を失った黒ネコの妖精シャオヘイ。そこに手を差し伸べたのは同じ妖精のフーシーだった。フーシーはシャオヘイを仲間に加え、住処である人里から遠く離れた島へと案内する。その島に、人間でありながら最強の執行人ムゲンが現れる。

非人哉(ひとにあらざるかな、フェーレンザイ)

九月は少女の姿をした九尾の狐。彼女の周りでは、中国の伝説に登場する妖怪・玉兎・龍・神仏など様々な「ひとにあらざるもの」が、現代社会にそれなりに適応して暮らしている。そんな中で種族の特性や能力などからさまざまな出来事が起きてしまう。

道教(どうきょう)とは

中国固有の宗教・思想。 仙人・神々・気(エネルギー)・不老長生・呪符・術などが中心。

世界は「気のバランス」で成り立つと考え、修行によって境地を高めると「神仙(超常的存在)」になれる。

老子が書いた『道徳経』の思想(道=タオ)を基盤にしつつ、後に多くの神話要素と混ざった“ゆるく広い”宗教。

  • 道教=自然と一体化して仙人を目指す思想
  • 仏教=苦しみから飛び出すための心の修行
  • 儒教=正しい行いで社会を整える倫理体系

山海経(さんかいきょう)とは

古代中国の地理書+妖怪・神獣図鑑のような書物(成立は紀元前~紀元後初期)。

現実の地理、神話、生き物、怪物、霊獣などが雑多に書かれている。

中国の「妖怪・霊獣・神話生物」の原点。

現代の中国アニメでは「山海経の怪物」+「道教の神仙体系」がミックスされて描かれることが多い。

キャラ一覧と由来

キュウゲツ(九尾の狐)

中国を中心に東アジアの伝説に登場する強力な妖狐で、長く生きて修行を重ねるほど尾が増え、九本になると最高位の霊獣とされます。

古い文献『山海経』にも記述があり、平和な時代に現れる吉兆の獣として描かれる一方、美しい女性に化けて人を惑わす妖狐として語られることもあります。

日本では玉藻前伝説や那須の殺生石が特に有名で、現代では『NARUTO』など多くの作品のモチーフにも使われています。

ゴウレツ(西海龍王の三太子)

中国神話では、東・南・西・北の四方を支配する龍王が存在し、若い龍族は人間界や神々と関わる役割を持つことが多い。

古典『西遊記』では、白馬は龍の子が化けた姿として三蔵法師を運ぶが、「西海龍王の三太子が乗せた」という話は存在しない。

これは現代の創作やアニメ、小説による設定である。龍は使命や罪に応じて白馬に変身し、人間界へ遣わされることがある。

たまちゃん(玉兎)

かぐや姫のルーツとなった嫦娥伝説で、不死になった嫦娥姫と共に月に登ったいわゆる「月の兎」。

嫦娥伝説では餅をつかず、姫の身の回りの世話や不死の薬を作っている。

月餅は嫦娥伝説にちなんだ後世の祭り文化(中秋節:日本でいう十五夜)で関連付けられたもの。

ナタ(哪吒)

李靖(托塔天王)の子として生まれ、異常な妊娠期間の末に肉塊から誕生した神童です。

生まれながら神力を持ち、乾坤圈や混天綾、火焔輪などの神具を駆使して戦い、空を飛んで悪霊や妖怪を退治します。

生まれた5日後に東海で水浴びし東海龍王の領域で暴れてしまい、挙句の果てに龍9匹を殺してしまいます。

色々あって自害した哪吒ですが、魂が釈迦如来にその力を見込まれ、蓮を折って骨、レンコンを肉、糸を筋、葉を衣として復活させた。

中国をはじめとしてアジアで大人気の神様。逸話がありすぎて書ききれません。哪吒|Wikipedia

カンノン(観音菩薩)

仏教の観音菩薩が明代に道教に取り込まれて慈航真人となりました。道教は他宗教の神々も取り込むことが特徴です。

玉浄瓶は古来から観音菩薩が持つ宝としてよく言及される “水を入れる瓶” で、救済・浄化のシンボル。作中ではスタバ風カップです。

作中でつけたり消したり、取り外せる「後光」は仏の超人的な力や智慧が光り輝く様子を視覚化したものです。

ロークン(老君、太上老君)

老君(太上老君)は、道教における最高位の神仙の一柱で、宇宙の法則や修行者の道を司る存在とされます。

伝統的には歴史上の思想家・老子(李耳)と同一視されることが多く、『道徳経』の教えを体現した神格化と考えられている。

道教の経典では、天地の調和や仙道修行の法則を説き、不動の誓いや禁戒を守る象徴として描かれる。信者からは教化や災厄防止、霊的導きの神として崇拝される。

執行人→これは創作

無限など羅小黒戦記には「執行人」と呼ばれるキャラが現れますが、これは道教や山海経には登場しない創作による役職です。

羅小黒戦記に登場する執行人は、精霊や妖精の秩序を維持し、ルール違反や悪行を取り締まる役割を持つキャラクターである。

道教や『山海経』には直接の登場はないが、秩序維持や法の執行という点では、太上老君の命を受けて法を守る仙官や、三清配下の神仙たちが類似の役割を果たすとされる。

彼らもまた、人間界や精霊界での規律を監督し、必要に応じて罰や指導を行う存在として描かれている。

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