【材料工学】材料工学/材料科学では何を学ぶ?大学も調べてみたよ

大学生活

私は大学で「材料工学」について勉強していますが、多くの人には内容がイメージしづらいです。

そこで材料工学について、この分野に興味を持つ高校生を意識して勉強する内容などを紹介します。

結論から言うと物理・化学・生物を広く網羅でき、将来の選択肢も広い超おすすめの分野です!

材料工学とは

ここで初めて「材料工学」という名称を知った人もいるのではないでしょうか。

名前から受けるイメージとしては「材料に関係するけど具体的にどんなことをするの?」となります。

「材料工学」はその名の通り、材料に関わる全てを担当する学問です。

自然物を除く全てのものは材料工学の研究・開発が行われたものであると考えて問題ありません。

材料工学、または材料科学は、工学の一分野であり、物理学、化学等の知識を融合して新しい材料(素材)やデバイスの設計と開発、そして評価をおこなう学問である。
プロセス技術(結晶の成長、薄膜化、焼結、鋳造、圧延、溶接、イオン注入、ガラス形成など)、分析評価技術(電子顕微鏡、X線回折、熱量計測など)および産業上の材料生産での費用対利潤の評価などを扱う。

https://ja.wikipedia.org/wiki/材料工学

何かを作るための材料の開発、改良を始め、強度などの測定も行っています。

扱う材料は大きく有機材料、無機材料、金属材料、これらを組み合わせた複合材料に分類されます。

材料工学のメリット・デメリット

生活に比較的近い

物理学のような理論屋の研究内容は、研究結果が生きている間に見られるかというレベルです。

一方で材料工学は「工学」とつくため、研究内容が身の回りで利用されていることが多いです。

身の回りにありながらも、材料の中には一般的には知られていない驚くべき特徴を持つものも…

自分の研究している内容がどんなところに利用されているかを文系の人にも伝えやすいのも◎。

進路決定を先延ばしにできる

高校の時点で理系を選択したけれど、具体的に何をしたいか決まっていない人に材料工学はおすすめ。

他の分野ではかなり将来が限られますが、材料工学では研究室配属まではある程度自由が効きます。

化学が得意で入学したが、量子力学に挫折して物理寄りの研究室に入るということも可能です。

有機・無機・金属・複合材料や実験・解析など選択肢は多いので自分にあった研究室が見つかるはず!

就職はかなり強い

世の中の全材料は研究なしに発展しないため、材料工学の仕事がなくならず就職先にも困りません。

多くの学生が大学院に進んだ後、大手メーカーの研究・開発部門に就職します。

また、物理、化学、(生物)について広く学んでいるため、他の分野に就職する人もいます。

技術営業や食品会社、テレビ局勤務などもあるらしい…

材料工学ではどんな勉強をするの?

実際に材料工学を勉強する大学生が履修する授業の一部を紹介します。

材料工学の特徴としては、いろいろな方向から材料を開発・評価する必要があるということがあります。

そのためコースによっては物理、化学、場合によっては生物と、理科全般を勉強していくことも!

一般に四力と呼ばれる「流体力学、機械力学、熱力学、材料力学」の単位はしっかり取ろう!

量子力学(りょうしりきがく)

材料工学に限らず大学生の多くが勉強する学問であり、単位を落としやすい難関科目。

「電子」が粒子と波動の性質を合わせ持つという前提から誕生した学問で、高校物理でも少し触れます。

「力学」とつきますが、物理の皮を被った数学で「シュレディンガー方程式」なるものを解きます。

電子の2面性、存在確率の概念でつまづく学生が多いため、入門書を読んでおくことをおすすめします。

材料や物質の性質を決めるのは主に電子の振る舞いに関係し、無機や金属材料で使うことが多いかも。

材料力学(ざいりょうりきがく)

高校力学のつり合いの問題が発展したような学問で、難易度はそこまで高くないです。

天井や壁に固定された材料に対し、働いている力を図示してモーメントのつりあい式などを解きます。

引張り試験などの強度計算の基本となる「σ=Eε」のヤングの公式などから習うことが多いでしょう。

またこれらの計算をコンピュータソフト「Abaqus」を用いて行うこともあります。

材料の力学的評価やコンピュータによるシミュレーションを行う人が用います。

金属材料学(きんぞくざいりょうがく)

金属の延性や展性などの基本的な性質、合金にした際の安定度や金属の強化方法などについて学びます。

金属の中でも、現在も最も広く用いられている「鋼(こう:鉄と炭素)」について学ぶ時間が多いです。

異なる金属を混ぜ合わせて温度を変えた際の「平衡状態図」の読み方を覚えるまでが少し大変かも。

反応速度論(はんのうそくどろん)

有機物(主に高分子)が反応を起こす際にかかる時間や反応の速度を計算する学問です。

反応によっては一方的ではなく平衡状態や中間生成物を考慮する必要があり、簡単には計算できません。

実際に研究室に配属されればコンピュータを使うことが多いため、原理を学ぶ程度でした。

その他

他にも下の授業や、毎週異なる分野の専門家が大学で講演をしレポートを提出する授業などもあります。

固体物理学では物質の結晶構造を実際には目に見えない「逆格子」というもので考えるのがいまだに謎。

  • 電磁気学
  • 熱力学
  • 磁性材料学
  • 航空宇宙力学
  • 高分子材料学
  • エレクトロニクス材料学
  • 半導体工学
  • バイオマテリアル工学

また理系特有の「学生実験」では、与えられたテーマの実験を行いレポートを提出して添削を受けます。

研究室に配属され卒業研究をする際に役立つので手を抜かずにしっかりやりましょう!

【実験レポート】終わらない人必見!レポートを早く終わらせる書き方!

材料工学に向いている人

基本的に高校生で材料工学を志す人は、高校で勉強する化学が好きな人が多いのではないでしょうか。

しかし材料工学で学ぶ化学は高校と異なり、電子の振る舞いから考えることには注意が必要です。

化学反応式を暗記して問題を解くのではなく、電子の安定な位置を考える問題も多くなります。

そのため暗記勢は苦戦しますが、なぜその反応が起こるかがわかる点では高校より理解が深まります。

個人的に思う、材料工学が向いている人は以下のような人です(あくまで私見です)

  • 材料の性質や化学反応の成り立ちを知りたい人
  • 身の回りの新素材を開発したい人
  • 漠然と科学について勉強したい人
  • 進路がまだはっきり決まっていない人

材料工学が勉強できる大学

「材料」「マテリアル」という文字の入った大学をピックアップしました、参考にしてください。

大学によっては化学科や物理科、工学科に所属していることもあるので結構探すのが大変です。

  • 滋賀県立大学:材料化学科
  • 名城大学:材料機能工学科
  • 芝浦工業大学:材料工学科
  • 千葉工業大学:先端材料工学科
  • 東京工芸大学:科学・材料コース
  • 東海大学:材料科学科
  • 岩手大学:材料物性工学科
  • 岩手大学:物理・材料工学科
  • 東北大学:材料科学総合学科
  • 東京大学:マテリアル工学科
  • 東京理科大学:マテリアル創生工学科
  • 長岡技術科学大学:物質材料工学課程
  • 富山大学:材料デザイン工学科
  • 富山大学:材料機能工学科
  • 山梨大学:先端材料理工学科
  • 信州大学:化学・材料学科
  • 名古屋大学:マテリアル工学科
  • 滋賀県立大学:材料科学科
  • 京都工芸繊維大学:物質・材料科学域
  • 関西大学:化学・物質工学科
  • 兵庫県立大学:機械・材料工学科
  • 島根大学:物理・マテリアル工学科
  • 九州工業大学:マテリアル工学科

材料工学に興味を持った方へ

今回は日々の生活で重要ながらもあまり知られていない「材料工学」について取り上げてみました。

理系に進む高校生の中でこの記事で材料工学に興味を持ってくれた人がいたら嬉しいです!

大学以外だと「材料・物質研究機構(NIMS)」という国立研究開発法人が有名です。

材料に関するニュースやわかりやすい動画を紹介しているので興味があればどうぞ!

国立研究開発法人物質・材料研究機構|NIMS

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