
みなさんは日本に特有である、不思議な絶滅動物「デスモスチルス類」をご存じでしょうか?
海苔巻きのような歯が特徴の「束柱目」で、カバやジュゴンに似ていると考えられています。
まだ謎の多い生き物ですが、その出会いと再会、近年の大きな発見と博物館をご紹介します!
デスモスチルスとの出会い
小さい頃に、近所のお兄さんのお下がりで読んだ学習マンガ「まぼろしのくびながりゅう」。
作中でデスモスチルスは、海苔巻きのような歯を持つカバのような動物と紹介されていました。
現代の生き物とは違う部分がや謎が多く、既に絶滅した動物ということで印象に残っていました。
自分は「生きた化石」や1種類しか分類がない生き物(ヘビクイワシとか)にロマンを感じます。
島根県の旅行中に…

ずっと記憶の片隅にあったデスモスチルスですが、10年以上も経ってから再び思い出す機会が。
島根県を旅行した際に訪れた「来待ストーン」にこんな展示が。(写真撮影禁止なのでURL)
説明にはパレオパラドキシア(古くて矛盾だらけのものという意味)と書いてあったかな?
名前がそもそもかっこよすぎるのと、小さな復元模型が在りし日のデスモスチルスっぽい…
同じ「束柱目」だった
興味を持ったことはその場で調べるタイプなので、来待駅で電車が来るまで調べていました。
デスモスチルスもパレオパラドキシアも同じ「束柱目」に属し、歯の長さで分類されるそう。
近年では良質な全身骨格が岐阜県で発見され、話題になったとChatGPTが教えてくれました。
ちょうどChatGPTに課金中だったのでDeepResearchにかけましたが、やっぱり精度がすごい。
2022年6月に岐阜県瑞浪市の土岐川で、約1650万年前のパレオパラドキシアのほぼ完全な全身骨格化石が発見されたってニュースがあったよ。世界でも7例目の発見らしいから、かなり注目されたみたいだね。
瑞浪市化石博物館

一度目覚めてしまった興味は尽きず、地理的にも近いので早速「瑞浪市化石博物館」に行きました!
化石博物館付近には陶磁博物館やサイエンスワールドなる施設もあり、文化施設が集中しています。
2025年3月にリニューアルオープンされたばかりで、タイミングが非常にタイムリーでした!
2022年発掘の「パレオパラドキシア瑞浪釜戸標本」展示コーナーが新設、情報も更新されています。


イメージキャラクター「瑞浪Mio」さん、各自治体はこれくらいの萌えキャラをめざしてほしい…!
ちゃんと発掘に行くときは長そで長ズボンになっている、ちびキャラ等バリエーション多いのも〇。
2017年ミュージアムキャラクターアワード4位。瑞浪市化石博物館イメージキャラクター瑞浪Mioとは?
パレオパラドキシア産状レプリカ

入り口を入るとさっそくパレオパラドキシアの骨格標本(レプリカ)が見えてきます。本物は奥に。
地元住民が川の清掃中に偶然見つけたそうで、発見からわずか5日後に緊急発掘が行われました。


老齢な個体であること、イタチザメなどによって両前足が持ち去られた可能性などが分かっています。
標本レプリカの右上には映像もあり、川底からの分離からクリーニングの様子まで非常に面白い…


左奥に見えるのがデスモスチルスとパレオパラドキシアの標本。束柱目といったらこの歯ですよね!
小学生で読んだ本が思い出せなかったのですが「のりまき怪獣」というフレーズで特定できました。
日々いろんなことに触れていると、突然それらがつながったりするので、本当に楽しいと感じます。
パレオパラドキシア瑞浪釜戸標本

クリーニングが完了した「パレオパラドキシア瑞浪釜戸標本」(本物?!置いておいていいの?)
産状レプリカでもかなりのインパクトでしたが、並べてみるとその保存の良さがわかります。
前両足がないのが非常に残念。胸骨って現在の動物にもあるのかな?と調べたら人間にもあった。


発掘された化石を基に復元された全身骨格と想像図。昔のデザインから若干変わっていますね。
生活環境の推定に一緒に発掘された化石を使っていて、中学校で習った「示相化石」って奴だ…
海苔巻きのような歯はかつて貝をかみ砕くと考えられましたが、けっこう中身はスカスカみたい。


かつてのデスモスチルス類の想像図。今の想像図に比べるとよりカバに近く描かれています。
陸上と海中でのどちらが生活のメインだったかで、現在はどちらかというとジュゴンに近い。
全身骨格はこれまで世界で9例?らしく、日本の標本は泉標本というのが最もそろっていそう。


瑞浪市は化石愛好家の間では有名な場所らしく、中央自動車道開設で多くの化石が出たそうです。
かつては海だったようで、海中(クジラ)や陸上(ゾウ)の大型哺乳類の化石も多く産出します。
右図はデスモスチルスなどが生きていた中新世の日本の形。フォッサマグナミュージアムで見た!
化石発掘体験

ここ瑞浪市化石博物館は、日本でも珍しい「無料での化石発掘体験」ができる場所のようです。
化石博物館で手続きを行い、少し離れた場所にある専用駐車場から発掘場所に向かいます。
タガネやハンマーは自分で用意する必要があるとのこと、今回は知らなかったので見るだけに。


左図:近年は発掘されすぎて、一部地域は発掘禁止だそう。将来的には発掘できなくなるかも…
右図:落ちてる石や川底を見ると貝殻が埋まっているのを確認できます。なんかすごいね!
落ちている石から化石を取り出しましたが、取り外すとただの石なんだよな…(貝化石あるある)
雨が降ってきたので中断、化石博物館に発掘を終了する旨を電話で伝えておしまいです!
瑞浪市化石博物館の感想

昔から化石にも興味がありましたが、比較的最近の動物は現代とあまり変わらないので微妙でした。
その中でも異色を放ち、いまだ謎に包まれたデスモスチルスの存在だけは記憶の片隅にありました。
広く興味を持つこと、記憶の片隅にでもいいから覚えておくことがすごい大切だと感じた出来事です。
↓おいてあった面白かった本。束柱目もちゃんといる!
おまけ:竜吟の滝

時間があったので近くにあった滝を見に行くことにしました。
小さな古墳や竜の卵(中にいるのは赤ちゃん?)クライミングの大きな岩壁。
一の滝と二の滝まででギブアップ。全部で7つ滝があって湖もあるらしいのでまた今度。






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