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「燃えよ剣:司馬遼太郎」感想!誰よりも新選組のために命を燃やした副局長

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大学になってから昔から苦手意識を感じている時代小説にチャレンジしています。

司馬遼太郎氏の著書は「坂の上の雲」「竜馬がゆく」が図書館に全巻なかったことから挫折した経験があります。

しかし上下2巻だけからなる「燃えよ剣」なら読めるのではないかと思いました。

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

「燃えよ剣」概要

筆者は「坂の上の雲」「竜馬がゆく」などの時代小説で人気になり、「司馬史観」とよばれる自在で明晰な歴史の見方を確立させた時代小説家の司馬遼太郎氏。

この「燃えよ剣」では「バラガキの歳」と呼ばれていた土方歳三が、いかにして新選組「鬼の副局長」となり、数々の戦を乗り越えて最後に函館の五稜郭で命を散らしたかが、彼の内面と共に描かれています。

「燃えよ剣」あらすじ

この記事では作中で特に心に残った場面を、引用とともに時系列に沿って紹介していきたいと思います。

江戸に出るきっかけ

歳三は六社明神の暗闇祭で交わった猿渡家の娘佐絵との関係を、甲源一刀流の六車宗伯に気付かれたため初めて人を斬る経験をする。

六車の仇討ちのためにやってきた歳三の宿命の相手、七里研之助は道場での歳三の太刀筋を見て彼が六車殺しの犯人だと確信し奇襲をかけるが歳三はからくもこれを逃れる。

歳三の剣がななめに流れ、宗伯の首は虚空にはねあがり、胴が草の中にうずくまった。

殺人とは、こんなに容易なものかと思った。

池田屋事件

新選組を害する芹沢派を壊滅させ局中諸法度によって引き締まった新選組に、私兵の集まりから正規の幕軍になる機会が訪れる。

近く浪人たちが京の市中に火をかけ一斉に蜂起するという情報を手にいれた新選組は、監察の山崎烝を事前に送り込み、配膳の邪魔になるという理由で刀を奪うことに成功する。

踏み込んだ近藤、沖田、永倉らは死ぬ気で戦う浪人たち相手に奮闘し、後から到着した歳三は戦場稼ぎをしようとする他の連中を阻止。

自然、幕兵約三千は路上に脱出してくる連中だけを補足する警戒兵となり、戦闘と功績はすべて新選組の買い占め同然のかたちになった。

伊東甲子太郎

新選組の活躍に従い局長である近藤は幕府の重役と議論する機会が増えており、論客として伊東甲子太郎を新選組に引き入れることを検討する。

歳三はそれぞれの同門意識からくる関係悪化を理由に難色を示すが、新選組の参謀になった伊東は近藤に尊王論を吹き込むようになり新選組は侍の集団というよりも政治団体に近づいていく。

さらに伊東は歳三暗殺のために七里と手を組み、歳三をだまし討ちにしようとする。

七里を斬った歳三は後日夜道で伊東を暗殺し、遺体を回収しに来た伊藤一派も壊滅させる。

死んだのは奇妙なことにすべて一流の使い手であった。かれらは脱出しようとしても、剣がそれを許さなかった。

剣がひとりで動いては次々と敵を斃し、死地へ死地へとその持ち主を追い込んで行った。

(剣に生きる者は、ついには剣で死ぬ)歳三はふと、そう思った。

官軍から賊軍へ

沖田が病状悪化のため離脱、続いて近藤も負傷したことで歳三の負担は大きくなった。

鳥羽伏見の戦いにおいて朝廷は薩長士を官軍と決定し、新選組は賊軍となってしまう。

頼みの綱であった大阪城から慶喜が松平容保とともに逃げたという話を聞いた歳三だが、それらに失望するよりも新たな武器を用いた未知の近代戦にワクワクしていた。

慶喜は、味方からも逃げた。

二日間の夫婦生活

七里との死闘の際に出会った女性、お雪が大阪にやってきたことを知った歳三は新選組の面々に初めて彼女の存在を明かし二日の休暇を取る。

ふたりは西昭庵という料亭に泊まり互いの愛を確かめあい本当の夫婦のように過ごす。

この時が永遠に続けばいいと思いつつも、お雪は戦闘に発つ歳三を夫が出かけるのを妻が見送るようにして別れる。

お雪はその料亭にしばらく泊まり歳三と見た夕陽を自らの筆に起こそうとするのであった。

お雪は、風景は得意ではない。

しかしかきとめねばならぬとおもった。

下絵を何枚もつくり、最後に絹布をのべたとき、歳三とともに見たあの夕陽が落ちてゆくのをみた。

一人での戦い

歳三の数少ない友人であった近藤は官軍に降伏し処刑され、それを追うように病床にあった沖田も息を引き取る。

榎本をはじめとした新たな仲間と共にフランス式軍隊や艦隊戦といった新しい方法を積極的に取り入れる歳三は輝いていた。

劣勢を強いられる中榎本たちは五稜郭への籠城を主張するが、歳三は籠城して助けに来てくれる味方などどこにもいないと出戦を主張する。

激しい銃弾の中、ただ一騎進む歳三は名を聞かれ「新選組副局長土方歳三」と名乗り、官軍の一斉射撃によって死亡する。

降伏した函館政府の八人の閣僚で戦死したのは土方歳三たった一人だったという。

歳三は馬腹をけってその頭上を跳躍した。

が、馬が再び地上に足をつけたとき、鞍の上の歳三の体はすさまじい音をたてて地にころがっていた。

「燃えよ剣」を読んだ感想

新選組や土方歳三については恥ずかしながらほとんど知識がなく、アニメ「銀魂」「るろうに剣心」、手塚治虫の「新選組」と函館旅行での五稜郭で見たパネルくらいの知識しかありません。

https://tezukaosamu.net/jp/manga/206.html

新選組や函館政府など、歳三を取り巻く組織の行く先は悲惨なものが多いですが、歳三本人だけに限ってみれば特に悲惨さがないことに気付きました。

甲源一刀流の侍を斬った時から戦いに生きた歳三は、多くの戦をくぐり抜けた経験と持ち前のカンから「土方戦法」を確立、のちには見たことのない西洋戦法も積極的に取り入れており、彼にとってはこの時代を生きられたことはむしろ幸せだったのではないでしょうか。

政治に傾倒した局長の近藤とは違い、ただ新選組の強化と戦だけを見据えた生き方には古の武者の考え方を見ることができます。

「竜馬がゆく」のようにただ明るい未来を描くのではなく、時に汚れ役を請け負った新選組の副局長という視点から描いた明治維新は教科書で習う歴史とはまた違って見えました。

この調子で他の作品も読んで行きたいです!

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

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