【獣の奏者外伝 刹那】本編の別のところで流れる子弟の淡い恋の物語

感想文
【刹那(獣の奏者 外伝)】本編の別のところで流れる子弟の淡い恋の物語

獣の奏者を「闘蛇編」「王獣編」「探究編」「完結編」と読んできて、書き下ろしの続編があることを知ったので読みました。

外伝の「刹那」は前編2部と後編2部の間にある11年の空白を埋める内容で、カザルム学舎の師弟関係にあったエサルとエリンの2人の恋愛についての物語です。

作者も語っている通りこの外伝の話は本編の空気には相応しくないものがありますが、全ての物語を読み終えてから読むとしっくりくると感じました!

注意:本編のネタバレがあります

「獣の奏者外伝 刹那」情報

作者:上橋菜穂子

作家・文化人類学者。東京都生まれ。香蘭女学校高等科卒業。立教大学文学部卒業。立教大学大学院博士課程単位取得(文学博士)。専門は文化人類学。オーストラリアの先住民アボリジニについて研究している。現在、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』で作家デビュー。主な著書に『精霊の守り人』を初めとする「守り人」シリーズ、『狐笛のかなた』、『獣の奏者』、『鹿の王』などがある。

https://uehashi.com/profile/

あらすじ:叶った恋と叶わぬ恋

イサルの複雑な家族事情からエリンの出産準備が遅れ、危うい状態のエリンが苦しむ声を聞きながら彼女との出会いを思い出すイアル。

堅き盾(セ・ザン)として命はなげうっていたイアルと彼を忘れられずに訪ねてきたエリンは、互いの気持ちに気づきながらも暗い将来から一緒になることを躊躇っていた。

亡くなった母に対し思い違いをしていたイサルは、エリンの腹の子に対し両親のどんなしがらみがあろうと生まれてくることの大切さを願う。

一方でエサルもかつて貴族をやめ、タムユアン学舎で後のエリンの師であるジョウンと貴族の息子ユアンの3人でつるんでいた日々に想いを馳せる。

ある日招待された式典で王獣に魅せられたエサルは、2人の紹介でホクリ師に従事しユアンと共に寄生虫に関する研究を行っていた。

山奥に籠もって研究を続けるうちにエサルとユアンは肌を重ねるようになるが、それは決して許されない行為だった。

どんな困難な状況でも次の世代へつなげることを選んだエリンと、辛い時期を乗り越えて別の方法で意志を継ごうとしたエサルの対照的な物語。

「獣の奏者外伝 刹那」登場人物

エリン

闘蛇を操ると闘蛇衆の父と王獣を操る術を知る霧の民の母との間に生まれた、緑色の瞳を持つ少女。闘蛇の変死の責任をとり死んだ母を追ってカザルム学舎で獣ノ医術師を目指すうちに、王獣を操るかつて霧の民で禁断とされていた方法に気付いてしまう。王獣を神聖視する真王たちの厳しい監視を受けながらも「堅き盾」のイアルと結婚しジェシを生む。

イアル

母に売り渡され真王を命をかけて守る「堅き盾(セ・ザン)」となった若者で、命のやり取りの合間に作る指物をよりどころとしていた。かつて負傷した際にエリンの王獣舎に匿ってもらったことからエリンと結婚することになった。結婚後は「堅き盾」を抜け、身分を隠して一般の指物師として生計を立てるジェシの父親となった。

ジェシ

エリンとイアルの間に誕生した男の子。小さい頃から王獣と共に暮らしてきたため、エリンほどではないが王獣と意思疎通を行える。母の姿を見て育ったこともあり、獣ノ医術師となるため12歳で入舎ノ試しを受け見事合格。母であるエリンの死後は獣ノ医術師として後の世代にエリンたちの知識を伝える役割を負う。

エサル

カザルム王獣保護場の最高責任者で、エリンの最初の師ジョウンとはタムユアン学舎で共に学んだ友人。ジョウンに託されたエリンを緑色の目であるにも関わらず公平に扱い、彼女が瀕死の王獣リランに対して新たな試みを行おうとした際に認めるなどエリンの良き理解者。王獣を操ることの恐ろしさをエリンと共有し共に真王からの監視を受ける。

ジョウン

死の直前の母によって闘蛇で逃されたエリンを保護し育てた養蜂家の老人。エリンに生き物の営みや竪琴の弾き方などの知識を授け、彼女が後に獣ノ医術師として才能を発揮する地盤を作った。その正体はエサルと共にタムユアン学舎で学び教導師にまでなった人物で、学舎内の抗争に巻き込まれて職を離れていた。

ユアン

若き日のエサルとジョウンと共にタムユアン学舎で学んだ貴族の子。エサルが王獣ノ医術師を目指すきっかけを作り、後の彼女の師となるホクリ師を紹介し共に生き物の寄生虫に対する特効薬の研究を行う。後に王宮付きの委員に配属される。

「獣の奏者外伝 刹那」感想

読み始めたときに「獣の奏者」らしくない話だなと思いました。

エリンとイサルの恋愛が自分の中で勝手に美化されていたので、ある程度生々しい描写がまさか作中で描かれるとは思ってもいませんでした。

作中にこれらの話が入ってしまうと「獣の奏者」シリーズの伝えようとしているテーマからは大きく外れただの平和な話になっていたと思います。

エリンの困難に立ち向かう姿勢も好きですが、エサル師の話に出てきた下の文章に対してこのような考え方もあるのかと感動しました。

雌雄が交わって実を結び、次代を育む花もあれば、自身が養分をしっかりと蓄えて根を伸ばし、その根から芽を伸ばして、また新しい花を咲かせる植物もあるものだ。

https://amzn.to/2YRJjvf

本編を読み終わってからしばらく間を開けて読むことをオススメします!

コメント

タイトルとURLをコピーしました